【アーカイブ版】セイヨウ情勢 : 市民参加による外来種(セイヨウオオマルハナバチ)モニタリングと対策のためのリアルタイム情報共有サイト

- 最終更新日: 2015年12月28日
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【過去の情報】早くも新女王が!?なんだかおかしい今年のセイヨウ

発信日:2008年07月07日
発信者:菊池 玲奈
今日は七夕。なぜか関東は、七夕はいつも雨が多い(梅雨の時期だから
仕方ないのですが)。今日もご多分に漏れず、雨まじりの空模様。
湿度も高く、「過ごしにくさ満点」の一日です。
北海道ではいかがですか?皆さん、お元気でお過ごしですか?
 
前回6月27日のマルハナ通信で「セイヨウは多いの?少ないの?」ということで
皆さんからいただいたメールをご紹介しました。すると・・
 
「ボリジーが咲き始めました。セイヨウは少ないです。エゾも来ていませんが。 
昨年に比べ、減っています。実は、蝶も少ないのです。アゲハチョウが来るようにと、
庭に彼らの好きなフェンネルをたくさん植えてあるのに6匹しかいないのです。
モンシロ、エゾシロ蝶もきてもいいように、キャベツもブロッコリーも植えてあるのに
、、、、来ていません。どうしたということでしょう。」(南幌町・Sさん)
 
など「とにかく見かけないよ」と「少ない」に票を投じる方がいらっしゃる一方で・・・
 
「各地でセイヨウが少ないと嘆いている?バスターズの皆さんは雨竜に
集合してください。ワンサカ湧くようにいます。メインはルピナス、それにポピーや
シャクナゲに訪花しています。でも確率的にルピナス、探さなくても寄って来る、
飛んで火に入る夏の虫、状態です。仕事の昼休み、帰宅後の20-30分の
短い時間で10-20頭が捕獲できます。」(雨竜町・Sさん)
 
「6月の感想:異常気象とかで気候不順の日が続きましたが、9日にはセイヨウ
オオマルハナバチも、条件さえそろえばこうなる、とばかりに一斉に巣立ちし、
昨日までの静けさは何なのだ、と不思議なくらいの異常発生だった」
(上富良野町・Eさん)
 
「6月に入ってからもさっぱりハチの姿が見えなかったのですが、月末頃になって
急に、まさに、一気にという感じでハチがやってきました」(旭川市・Kさん)
 
など、急激な増加の報告も相次いでいます。「冷凍庫がメタボ」のIご夫妻からは、
下記のようなお写真もいただきました・・・
 
 
もちろん中身は、全部セイヨウ!東川町の慰霊碑に埋葬して下さっています。
 
うーん、いったい何がおきているのでしょう。。。さらにさらに
 
☆ 新女王バチ、出始める? ☆
 
6月28日:雨竜町・Sさんより
25日の夕方、ブーンと大きな爆音に大型飛行物体が接近、何と女王バチでした。
捕獲成功、真っ黒にゴールドが輝き、汚れなき真っ白なお尻、花粉カゴには僅か
ばかりの花粉を付けた、きれいな女王バチです。で、疑問。今頃なんで女王なのか、
一度産卵子育てを終えた女王が散歩していたのか、それにしてはきれい過ぎる。
まさか、新女王のお出ましでもあるまいに。かくも不思議な女王捕獲でした。
 
7月2日:旭川市・Iさん
今晩は、新女王も出てきています。今日、エゾコマル♂を確認しました。
 
7月4日:東川町・Tさん
六月下旬より我が家の花壇に飛来するセイヨウが爆発的に増えました。
昨年の今頃は、ほとんど飛来しませんでしたが、7月に入り、4日間の捕獲数が
65頭となり、少々驚いています。
その中で、1頭は新女王の様です
最初は「ハウスからの逃げ出しか、寝坊女王が稀に出てきたか」などと思ってましたが、
いずれの皆さんも、何年もセイヨウを観察し、ぴかぴか新女王を見ていらっしゃる方
たちばかり。なんでこんなに早いの!?
あえて解釈しようとするなら、生きものにとって「子孫を残す」ことは最大の仕事。
とくに、マルハナバチのように1年で死んでしまう生きものにとっては、なおさら切実。
 
ご存じのとおり、マルハナバチたちは秋口まで巣を大きく発達させ、シーズン後半に
新女王やオスバチを生み出すのが一般的です。シーズン後半までに沢山の働きバチを
生み出せば、集められる花粉や蜜も増えるし、巣内の世話も行き届くため、沢山の
子孫を残せる可能性が高まります。
 
一方で、シーズン後半まで新女王やオスバチの生産を引き延ばすことで、巣が何かの
原因で崩壊してしまったり、女王バチが死んでしまって、子孫を残せないリスクも高まります。
「数は少なくてもいいから、早めに、確実に女王バチをうみだそう」という戦略も不思議では
ありません。今年はあまりに気候が不順だし・・・とにかく、今年は過去2年の「常識」とは
違うことが起きている!
皆さんからいただく1枚1枚の報告用紙、メールをみながら「うーん」と首をかしげてます。
 
こういう「変化」が感じられるのも、皆さんが継続的に監視をして下さっているからこそ!
あらためてそのありがたさを感じるとともに、「命を残す」ことへの純粋な生きものの対応に
感動したりしています(といいつつ、セイヨウは捕獲をお願いしなければならないから、
複雑な気持ちですが。実際に捕獲してくださっている皆さんは、なおさらですよね)。
 
☆ 巣も見つかり始めてます ☆
 
今年に入って、3つの巣の情報がありました。苫小牧市、浦臼町、東川町で1つずつ。
そのうち、東川町の巣は、モニターTさんご夫妻が掘り出して下さいました。
 
 
 
場所は畑の土手。ご近所のSさんが「ハチが沢山いる!」と教えて下さり、土手の穴から
飛び出して群がっているのを発見されたそうです。
7月5日、掘り出して下さいました。巣の除去の詳細レポートもいただきました。
 
セイヨウオオマルハナバチの巣の除去    
  1.実施日      7月5日(土) 午後2時~午後4時30分
  2.場所       東川町東8号北5番地 Sさん 庭の土手部分 S さんが朝、発見 
  3.巣の状況  ネズミの巣を利用した巣 (地上の穴部より地中の巣までは約1.5m 深さ約50cmの地点)
  4.巣の個体量
  ①卵  354個
    ②幼虫  34体    
    ③働き蜂 175頭    
    ④女王蜂   1頭    
 
とのこと。新女王を出す前だったようで、ほっと一安心。
Tさんから「6月下旬から家の花壇に飛来するセイヨウが爆発的に増えた原因がわかりました。明日からまた、
静かな花壇に戻ればいいな、と思います」とメールをいただきました。おつかれさまでした。
 
・・・というわけで、例年とはずいぶん違う現象の見られる、今年の監視活動。相手が一年生の生きもの
だけに、私たちも順応的に、しっかりと捕獲圧をかけていければ、きっと効果が出てくるはず!
 
一方で、山間部への侵入の実態も気になります。今年6月22日、積丹岳の登山中、5合目付近でセイヨウ
オオマルハナバチの確実な目撃情報が得られています。これから夏山などにいらっしゃる機会も増えられるかと
思います。特別保護区など、捕獲に許可がいる場所も多いと思いますが、ぜひ花たちのパートナー、マルハナ
バチも観察いただき、お尻の白い侵入者がいないかどうか、情報をお寄せ下さい!