【アーカイブ版】セイヨウ情勢 : 市民参加による外来種(セイヨウオオマルハナバチ)モニタリングと対策のためのリアルタイム情報共有サイト

- 最終更新日: 2015年12月28日
本サイトは更新を終了しました。北海道生物多様性保全活動連携支援センター(HoBiCC)が運営する新「セイヨウ情勢」をご覧ください。

【過去の情報】野付半島での行事のご報告

発信日:2008年06月10日
発信者:菊池 玲奈
前回のマルハナ通信(5月19日付)からちょっと間があいてしまいました。
5月30日から野付半島へ。その後、釧路、根室とまわり、6月3日に東京に
戻ってきました。関東はその間に梅雨入り・・・したはずなのですが、昨日の
夕方はスコールのような大雨ととどろく雷鳴。
今日はピーカンの青空と、強烈な日差し。
モニターの皆さんからも「今年は気候がおかしい」という声が沢山届けられ、
どんな夏がやってくるのか、ちょっと心配です。
でもちょっと嬉しいのは、ずっと見かけなかった「コマルハナバチ」の働きバチが
にぎやかにサツキを訪れる姿を確認できるようになったこと。「今までいったい
どこにいたの?」と思わず話しかけてしまいます。
皆さん、お元気でお過ごしですか?マルハナバチたちは飛んでいますか?
もし5月までの調査結果をお手元にお持ちでしたら、お手数ですがファックス、
メール、郵送など、いずれの方法でも構いませんので、菊池宛にお送りいただけると
幸いです。
 
=5月31日~6月1日、野付半島での行事が無事に終わりました=
 
野付半島と別海町で開催される「マルハナバチウォッチング」と「マルハナバチ
シンポジウム」を控え、5月30日の昼過ぎに根室中標津空港に降り立ちました。
昨年、「野付半島でセイヨウ発見!」の報を受け、あわてて一泊二日で現地に
赴いたときのこと。「このままでは大変なことになる。来年、シンポジウムを開催
しましょう!」という研究室の鷲谷先生の一言からはじまった、一連の行事。
現地の皆さんのお力添えのおかげで、無事に終了することが出来ました。
ありがとうございます。早速、ご報告いたします。
 
空港からまず、野付半島に向かいます。「思ったより寒くないねえ」などと機嫌良く
みなで半島を下見します。
が・・・まだお花が少ない!かろうじて咲き始めた「タンポポ類」が頼りです。
早速あらわれました「ノサップマルハナバチ」。ね、お尻が白くないでしょう?
しかもまるまる太って、重そうなこと・・・。色合いは似ているものの、普段
セイヨウの「素早さ」を見慣れてしまっていると「おいおい、頑張れよ」と
思わず声をかけたくなります。この日はなんと、もっとも見かけたマルハナバチが
「ノサップマルハナバチ」。なんとも気分のいい一日となったのでした。
 
翌日、行事第1弾の5月31日の午前中のマルハナバチウォッチングには、
環境省のレンジャーの方や、地元の自然保護団体の方など、30名以上が
集まって下さいました。
実は、行事開催までに、今年はすでに12頭のセイヨウオオマルハナバチの女王が
野付半島で捕獲されていました。環境省のレンジャーや、地元の方達がしっかり
監視して、捕獲して下さったのです(ありがとうございます!)。
 
昨年、野付半島で確認された巣は、新女王バチやオスバチを出すまえに掘り出す
ことができました。にもかかわらず、今年の春、半島の広範囲でセイヨウの女王バチが
捕獲される、ということは、残念ながら昨年、すでに複数の巣が野付半島にあり、
そこから新女王を輩出した可能性が高いことになります。この日の行事でも、寒くて
あまりハチの動きが活発でなかったにもかかわらず、3頭のセイヨウオオマルハナバチの
女王バチが捕獲されました(写真、とりわすれました。ごめんなさい!)。
 
翌日6月1日はあいにくの空模様。雨こそ降っていませんが、前日を上回って寒い、寒い!!
にもかかわらず、この日も地元の方が沢山集まってくださいました。
風も強かったため、さすがにハチは飛ばず。。。せっかくお集まりいただいた皆さんにマルハナ
バチを見ていただけなかったのが残念!
でも、今後の日常的な観察にむけて、皆さん、熱心に質問を寄せて下さいました。その表情は
真剣そのもの!「野付半島の自然は、私たちの力で守る!」という熱い思いに、感激した
時間でした。
 
シンポジウムにも沢山の方にお越しいただきました。
別海町、環境省釧路自然環境事務所、野付半島ネイチャーセンターなど、地元の皆さんが、
お忙しい中、行事をとりまとめてくださったおかげです。本当にありがとうございました。
そして、野付半島の自然を未来に引き継ぐために、今後とも継続的な監視をどうぞよろしく
お願いいたします。
 
=おまけの写真=
 
タンポポにはナガマルはナバチもやってきました。
 
野付半島では、干潟に普通にタンチョウがいます!いちいち「きゃーっ」と声をあげる私たちを
よそに、地元の方たちは「なーんも、いつもその辺におるよ」とのこと。唖然・・・。
今回、シンポジウムでご講演をいただいた、京都大学の加藤真先生が、万葉集の山部
赤人の歌を紹介して下さいました。
「若の浦に潮満ち来れば潟をなみ葦辺をさして鶴鳴き渡る」(和歌の浦に潮が満ち、干潟が
なくなるので、葦のほとりを目指して、鶴が鳴き渡ることよ)
これは、紀州の和歌浦で詠まれた歌ですが、昔は、日本中の干潟で、こうした風景が見ら
れたはず、とのこと。その風景が今も引き継がれている野付半島の自然の豊かさに、改めて
感動して帰ってきたのでした。
皆さん、お世話になりました。